ラプチャーディスクについて
ラプチャーディスクの役割

Purpose 1
圧力容器・配管・ダクトなど、密閉された装置や設備が過剰圧力によって破損するのを防ぐ安全装置・器具です。

Purpose 2
密閉された装置や設備内の圧力が異常に上昇した際、極薄の金属板(ディスク)が破裂することで流体を噴出させ、圧力を下げる働きをします。
ラプチャーディスクユニットは、石油化学・原子力などの各種プラントの密閉容器・機器類・配管などを、機械的誤操作・化学反応の暴走・容器内外の火災などによる過剰圧力の危険から保護するために使用されます。 安全装置には種々のものがありますが、運転中における完全シールに問題があります。この点ラプチャーディスクは、 可燃性・有毒・高価などの各ガスおよび放射性流体のリークによる危険または浪費を防止するのに効果的です。
このように、ラプチャーディスクは通常安全装置として使用されます。
このほかラプチャーディスクユニットは、過剰圧力の放出だけではなく、あらかじめ設定した条件(温度・圧力・時間など)で一瞬に開口する急開弁として、パイロット・プラントや実験装置にも利用されております。
一般的に安全装置として利用されるバネ式安全弁には吹き止まり圧力があります。しかし、ラプチャーディスクは吹き止まり圧力がない安全装置として区別されており、バネ式安全弁の代わり(代替性)、もしくは併用する安全装置・器具(併用性)として数多く利用されています。
ラプチャーディスクの構成
ディスク
設定された圧力及び温度において破裂する金属板の部品です。破裂圧力を調整する機能とシール機能を持ち合わせています。なお複合型の場合のディスク材質は、通常PTFEとなっています(複合型の破裂圧力の調節はスリットディスクで行います)。

ホルダー
ディスクを確実に固定する部品です。ラプチャーディスクはディスクが確実に固定されないと、ディスクに加わる応力が変化して破裂圧力が変化する可能性があります。そのため、専用保持具が必要となります。

スリットディスク
複合型に使用されるドーム状で放射線状に溝がある金属製の部品です。この溝によって破裂圧力を調整します。

バキュームサポート(Vサポート)
装置内が真空や背圧になる場合に使用し、ディスクの上流側に重ねるようにして取り付け、ディスクの変形及び座屈を防ぐ部品です。Vサポートには、ディスクとともに破裂する開放型と交換不要の非開放型の2タイプがあり、通常は引張型の真空仕様に使用します。

ラプチャーディスクの特長

Point 1
圧力放出速度が速い

Point 2
漏れがない

Point 3
高粘性・固着性流体に好適

Point 4
腐食性流体にも
対応可能
安全弁との作動比較
ラプチャーディスクの優位点
- 漏れがない
- 放出速度が速い
- 確実に作動 作動(破裂)は数~数十msec
1
例えば

- 安全弁
-
- 吹始め圧力(例:0.45MPa)
- 吹出し圧力(例:0.50MPa)
- 吹止まり圧力(例:0.40MPa)

- ラプチャーディスク
-
- 破裂圧力(例:0.50MPa)
2
運転時

- 安全弁
-
- 一次側圧力(例:0.40MPa以下)

- ラプチャーディスク
-
- 一次側圧力(例:0.40MPa以下)
3
圧力上昇(吹き始め圧力)時

-
安全弁
前漏れが始まる
-
- 一次側圧力(例:0.45MPa)
(=吹始め圧力)
- 一次側圧力(例:0.45MPa)

-
ラプチャーディスク
漏れなし
-
- 一次側圧力(例:0.45MPa)
4
圧力上昇(吹き出し圧力以上)時

-
安全弁
全開
-
- 一次側圧力(例:0.50MPa以上)
(吹出し圧力以上)
- 一次側圧力(例:0.50MPa以上)

-
ラプチャーディスク
破裂
-
- 一次側圧力(例:0.50MPa以上)
(吹出し圧力以上)
- 一次側圧力(例:0.50MPa以上)
5
作動後

-
安全弁
弁閉
-
- 一次側圧力(例:0.40MPa以下)
(=吹止まり圧力)
- 一次側圧力(例:0.40MPa以下)

-
ラプチャーディスク
破裂後のため開放
-
- 一次側圧力(例:0.40MPa以下)